日常。
何不自由なく生きている。
桜が咲いたね!と子供の声が聞こえ、
ほんとだね!と手を握って答えている。
鉄の箱に運ばれ、移動する。
この車窓からは、日常が見える。
陽の温もり、人の笑み、技術発展による工作物。
でも、この彩から掛け離れたように感じる、死。
胸糞悪い自殺。
車窓が止まる。音も光もその場に留まり、暗転する。
こんなにも色があるのに、たまに見るこの白黒の風景はなんなのか。
絶望するわけでもなく、日常から乖離する。
人の生と死。
その奥にある光のような、掴むことのできない、記憶のようなものを、たまに追いかける。
その世界に音をつけたら?
その世界を表現したら?
芸術はそんな掴めない何かを感じる。
生と死。
絶望。
そこに、一歩の光を落としていく。
岐路に立つ。
光はやがて道となる。